"温泉発電 10年実用化へ 地熱技術開発が実証実験
11月26日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ 抜粋。

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 電力会社などが共同で設立し、地熱エネルギーの利用技術開発を手がける地熱技術開発(東京都中央区)は、温泉水の熱を使って、電気をつくり出す温泉発電の実用化に2009年から乗り出す。長野県小谷村で実証実験を行い、早ければ10年ころの実用化を目指す。

 温泉発電の技術が確立されれば、全国の温泉旅館で利用されずに捨てられている熱エネルギーを発電に有効利用できることになる。

 温泉発電は、低沸点のアンモニアに水を混ぜた水溶液を、温泉の熱で蒸発させ、発生する蒸気でタービンを回して発電する仕組み。発電能力は中小規模の旅館1棟が消費する電力の大部分を賄える50キロワット。80〜120度の温泉水であれば、全国どこでも利用できるという。発電システムの本体価格は2500万〜3000万円と想定している。

 産業技術総合研究所(産総研)の調べによると、日本の温泉分布は2005年で3868カ所に上る。ただ、入浴に適さない湯温50度以上の温泉も多い。入浴に適した温度に下げるために水を混入すると、温泉成分が薄まることから、多くの旅館では高温温泉水を未利用のまま捨てているのが実情。

 地熱技術開発は「無駄に捨てられている高温温泉を発電に利用できないかを考え、開発に着手した」(大里和己取締役)という。

 地熱技術開発は、全国の温泉のうち10%程度が温泉発電システムに対応した高温の湯温になっており、すべてに発電システムの導入が進めば総発電出力が71万キロワットと、火力発電所1基分の出力に相当する規模になると試算している。

 環境省によると、温泉は毎年344カ所(湧出(ゆうしゅつ)量計毎時4万3600リットル)ほど
増えると推定されている。すでに九州電力や東北電力が、地下のマグマの熱を使って地熱発電を行っているが、温泉の湯熱を有効利用する試みは国内で初めて。温泉発電が実現すれば、温泉は楽しむだけにとどまらず、エネルギーの新たな担い手になる可能性もありそうだ。