植物プランクトン:台風の通過で増殖突き止め 東海大

 植物生産がほとんどない太平洋の亜熱帯海域(中央地点は北緯30度、東経140度)で、台風の通過により植物プランクトンが増殖することを、東海大の虎谷充浩准教授(海洋画像解析)が突き止めた。海水が混ぜられて深海の栄養分が上昇するためで、勢力が強く進行速度の遅い台風では最大約70倍に増えた。植物プランクトンは光合成により二酸化炭素を吸収するため、今後の地球温暖化予測に影響する可能性もあるという。

 虎谷准教授は、米国の地球観測衛星に搭載されているセンサー「MODIS」の97〜06年までのデータを解析。この海域を通過した150個の台風について、海域の植物プランクトンの指標になる葉緑素(クロロフィルa)の濃度変化を通過前後で比べた。

 このうち、濃度が変化した台風は94個あった。この海域の葉緑素濃度は海水1立方メートル当たり平均約0.05ミリグラムだったが、94個の台風では、進路に沿って濃度が同約0.2ミリグラムに増えた。特に勢力が強く進行が遅かった03年の台風17号では約3・.5ミリグラムまで上昇した。

 亜熱帯海域は海中に栄養分がほとんどなく、植物生産は極めて少ない。だが台風によって海水が混ぜられ、100メートルより深い海水中の栄養分が上昇するため、プランクトンが増殖したと考えられるという。

 虎谷准教授は「温暖化によって台風は大型化する。気候変動への影響がどうなるかを考えていきたい」と話している。【関東晋慈】

毎日新聞 2008年1月8日 2時30分

*毎日新聞抜粋ニュース