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環境に優しい”地中熱”の利用。地中熱ヒートポンプによる冷暖房。

地中熱 一般的に地中内部に存在している”熱”のことを「地熱」と呼んでいますが、熱の特性上 大きく2つの種類に分類しています。マグマや地下温泉帯などに関連した”高温の熱”を 「地熱」と呼び・・その他通年で安定した地中に存在している”熱”のことを「地中熱」と 呼んでいます。

”地中熱”は特殊な環境(永久凍土地帯や火山地帯など)を除けば・・深さ3m程度より 深い深度域では、一年を通じて一定で、その地域の平均気温と同じ程度の温度といわれ ています。(10℃〜18℃)
この安定的な温度(地中熱)を利用して、ヒートポンプ方式(熱交換)で夏は冷房に 冬は冷房として活用する仕組みが「地中熱ヒートポンプシステム」なのです。

システム技術としてはさほど新しいものではなく、欧米では1980年代からすでに普及し始め ているものです。日本においては1984年に暖房使用として実用化されましたが、欧米各国と 比較するとかなり遅れをとっているのが実情です。

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地中熱ヒートポンプの仕組み

地中熱 ”地中熱ヒートポンプ”のシステムは、採熱井(ボアホール)と呼ばれる地中への竪穴と 熱交換器(ヒートポンプ)及び採熱井と熱交換機を繋ぐパイプから構成されて います。パイプの中には、不凍液があり・・これによって”熱”を伝播しています。

より安定的な地中熱を利用するために、一般的には 採熱井(ボアホール)の深さを 約50m〜60mとしています。夏は外気温が30度越えに対して、地中熱が”10℃〜15℃” となりますので、相対的に”冷気”資源となります。逆に冬は外気温が10度 以下と なることで、地中熱が”暖気”資源となり、暖房として利用できるのです。

勘違いしてはいけないのが、地中の温度をそのまま冷気などとして使用するのではなく、 あくまでも”外気温”と”地中熱”の差を利用して”熱交換”を行うことによって冷暖房 を行う仕組みです。これは一般的なエアコンと同じ原理です。



地中熱ヒートポンプの特徴

なんといっても、大きな特徴といえるのが「枯渇することのない資源を利用」する 仕組みであることです。安定的な地中熱は、地球と共に存在し続けていくものです。 そういう意味で”消費型の資源”ではなく、”循環型の資源”利用となっている のが”地中熱ヒートポンプ”の仕組みなのです。

また、同じヒートポンプの仕組みを持つ従来型のエアコン(大気熱交換システム) の場合は、特に冷房時に熱交換する上で大気中(空気中)に大量の”熱”を放出 します。この放出熱が近年ヒートアイランド現象の一要因といわれており、環境負荷 が大きなものとなっています。
対して、”地中熱熱交換システム(ヒートポンプ)”の場合は、「完全密閉型」 が熱交換システムとなっており、屋外への熱放出や環境汚染がとても少ない仕組み となっています。非常に環境負荷の少ない・・環境に優しいシステムなのです。

■メリット
・従来型の冷房システムより電気代の削減。(約1/3の電気使用量)
・基本的には地域を選ばず、日本中様々な場所で利用可能。
・最終熱量は使用した電力の3.5 倍以上が創出可能。
・空気熱源ヒートポンプ(エアコン)が利用できない外気温- 15 ℃ 以下の環境 でも利用可能
・地中熱交換器は密閉式なので,環境汚染の心配がない
・冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の元になりにくい 。

■デメリット
・通常のエアコンなどと比較して、設置費用(イニシャルコスト)が高価。
・埋立地などの”液状化”の可能性がある立地には不向き。



地中熱ヒートポンプの費用対効果

地中熱利用のヒートポンプシステムは、機器本体稼動のため電気を消費しますが、 従来型の冷暖房システムと比較して大幅に電気使用量が削減されます。(比較対象 方法によって違いが出てしまうためなんともいえませんが、あくまでも目安として は、1/3程度の電気使用量となりそうです。)

地中熱ヒートポンプシステムは、土壌掘削費用やヒートポンプシステムの機械に 対する初期費用(イニシャルコスト)が必要となります。これは一般的にエアコン などと比較すると現時点では、高価なものとなっています。 しかし、今後普及が進むにつれ安価になると可能性が十分あるため、積極的な 普及拡大が望まれます。

【参考情報】
土壌掘削単価:日本…1〜2万円/m、スイス…5千円/m、アメリカ…3千円/m

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